学校法務コラム
その他
弁護士 塩見 貴章

LGBTQについて

LGBTQは、性的マイノリティを表現する言葉の1つです。性的指向(「どんな性を好きになるか」を示す概念)や性自認(「自分の性をどのように認識しているか」「どのような性のアイデンティティ(性同一性)を自分の感覚として持っているか」を示す概念。)を表す5つの言葉の頭文字から構成されています。

Lはレズビアン(同性を好きになる女性)、Gはゲイ(同性を好きになる男性)、Bはバイセクシュアル(同性を好きになることも異性を好きになることもある人)、Tはトランスジェンダー(体の性と心の性が異なる人)、Qはクエスチョニング(性的指向・性自認がはっきりしない人)のことです。

近年、本人が秘密にしているにもかかわらずそのことを知った者が無断で情報を他人に伝えてしまう「アウティング」の問題が生じています。「アウティング」により生徒を自殺に追い込んでしまったという事件も以前にありました。ここ数年で、LGBTQについての報道が増え、同性カップルを制度として認める動きが活発化してきましたが、いまだに当事者がいわれのない差別・偏見に晒される場面は少なくありません。そうしたなか、アウティングは本人にとって大きな苦痛をもたらします。また、無配慮な言動によるハラスメントも少なくありません。

平成27年に文部科学省から教職員に向け「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」という資料が発行されました。これには性同一性障害に係る児童生徒についての特有の支援の具体的対応参考例等が記されています。

指導する側のLGBTQに対する知識が十分でないことが、生徒に正しい知識を教えることを難しくしています。教員の知識・理解不足の課題を解決するためには、研修等を実施するなど、LGBTQへの理解を深めるための努力が欠かせません。そして、すべての児童がLGBTQについて正しく指導を受けることです。LGBTQに関する授業を受けながら不快な思いをしたり、LGBTQの子どもがいじめを受けたりといったことにならないよう、性的マイノリティへ配慮した学習指導が求められます。  

                                            以上

(2022.7.20)