学校法務コラム
教員・職員
弁護士 堀岡 雄一

【国公立教員の時間外労働等と教員の働き方改革について(その①)】

 私立学校の場合、使用者(学校)が、労働者(教員)を、法定労働時間外、法定休日または深夜に労働させた場合、その時間またはその日の労働については通常の労働時間または労働日の賃金の計算額に一定の割増率を乗じた割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条)。

 一方、国公立学校の教員の時間外勤務及び休日勤務(以下「時間外勤務等」といいます。)については、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(以下「給特法」といいます。)及び公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令(以下「政令」といいます。)により、私立学校の教員とは異なる取扱いとなっています。

 具体的には、

①給料月額の4%に当たる教職調整額を支給する
②時間外勤務等の手当は支給しない
③時間外勤務等は原則として命じないが、特に勤務が必要とされる4項目(㋑校外実習その他生徒の 実習に関する業務、㋺修学旅行その他学校の行事に関する業務、㋩職員会議に関する業務、㊁非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務)についてはその例外とする

とされています(給特法3条1項、2項、6条、政令)。

 このように給特法及び政令は、国公立教員が時間外勤務を行いうる場合について厳しく限定しています。基本的に、部活動顧問、教材作成や家庭との通常の連絡といった事情は上記例外に当たらず、これらを理由とする時間外勤務は認められません。

 では、国公立教員の時間外勤務手当についての裁判例がどうなっているか、また、教員の勤務の長時間化の現状と原因及び働き方改革について、次回以降の(その②)コラムで紹介したいと思います。

(2022.9.8)